見坂 茂範 氏
国土交通省 近畿地方整備局長
全国各地で毎年のように災害が発生しています。今年の元日には石川県能登地方において最大震度7の地震が発生し、大きな被害が発生しました。近畿地方整備局からも職員の派遣などを通じて復旧活動が一日でも早く進むように支援を行っています。
また、近畿地方においても、昨年夏には、6月の梅雨に入った直後に、和歌山県で線状降水帯が発生するなど太平洋側を中心に記録的な大雨となり、大和川は計画高水位を超過し、国管理の国道でも土砂崩落や事前雨量通行規制により5路線14箇所で通行止めが発生しました。さらに、お盆の8月15日には、台風7号が暴風圏を維持したまま近畿地方を縦断し、鳥取・兵庫・京都の一部地域で、甚大な被害が発生しました。
豪雨災害に加えて、南海トラフ巨大地震の発生も想定されていることから、近畿地方整備局では引き続き、流域治水、砂防、道路ネットワーク整備、老朽化対策など必要な事前防災や減災等の対策を計画的かつ迅速に推進していきます。
2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、近畿地方整備局としても必要なインフラ整備を推進するとともに、道路や港湾など万博開催時の来場者の円滑な輸送や交通円滑化に向けた取組を関係機関と連携して推進しています。
また、万博が一過性のイベントにならないよう、万博を契機として、関西特有の歴史・伝統・文化や豊富な地域資源を活かした観光地域づくりも進めていきたいと考えています。例えば、淀川では、舟運の復活に向け、淀川大堰閘門や十三緊急用船着場の整備を行っており、舟運を核とした賑わいや観光コンテンツの充実を図っていきます。
そして、万博以降も、なにわ筋線開業、北陸新幹線、リニア中央新幹線の開業などが予定されており、経済活性化の大きなチャンスです。関西の強みである医療やサイエンス分野に加え、新エネルギーやカーボンニュートラルなどの新しい課題に対応した新たな産業を関西がリードしていくことが重要です。このような経済・産業活動を支えていくため、近畿地方整備局としても道路ネットワークの整備を推進し、交通の結節点にあたるエリアでのまちづくりや再開発の動きについて地元自治体や経済界と連携するとともに、国際競争力強化に向けて国際コンテナ戦略港湾である阪神港の機能強化を図るほか、カーボンニュートラルポートの実現も目指していきます。
関西は三大都市圏を結ぶ日本中央回廊の西の拠点として、アジアを中心に世界からヒト・モノ・カネ・情報を呼び込む圏域としての成長を図るためにも、東アジア地域における将来の拠点空港として、関西国際空港のさらなる発展を期待しています。