山谷 佳之 氏
関西エアポート株式会社代表取締役社長 CEO
関西エアポートグループによる関西国際空港(KIX)と伊丹空港(ITAMI)の運営は開始から10年目、神戸空港(KOBE)の運営においては8年目を迎えました。また、昨年にはKIXは開港30年の時を刻みました。これまで関西エアポートグループ及び関西3空港をお支えいただいた全ての皆さまに、この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。
私たちの空港運営は、当初5年、インバウンド旅客の増加を背景に順調に成長しましたが、2020年1月に世界的パンデミックとなる新型コロナウイルス感染症が発生し、大きな危機を向かえました。KIXは、この影響により国際旅客需要が長期に亘り消滅し、未曽有の事態が続きましたが、約4年半を経て、昨年9月に完全復活することができました。コロナ禍の空港運営は、空港機能の維持を優先しつつ、2025年大阪・関西万博とそれを契機に拡大が予想される航空需要に備え、関係の皆様の多大なる協力の下、KIXターミナル1のリノベーションや新飛行経路の導入などの未来に向けた整備を実現することができました。
KIXターミナル1は、2025年3月27日にグランドオープンを迎え世界中からのお客様を快適にお迎えできる関西のゲートウェイ空港として生まれ変わりました。KIXのターミナルビルは、世界の主たる国際空港と比べて大きくはありませんが、機能面の充実に加え、日本がこれまで培ってきた「おもてなし」をはじめとした、使いやすいさや快適性の提供をめざしました。今後、少子高齢化が進み、更に海外人材の力を頼らざるを得ない時代がやってまいります。日本のサービスクオリティを大切にしながら、それにデジタル技術を融合し、新たな価値の創造に挑戦してまいります。
また、本年夏ダイヤより新飛行経路による運用が開始され、関西における「空」の受入能力が大幅に向上しました。現在、航空需要は非常に好調であり、コロナ前を上回り再び成長のフェーズです。私たちは、この新たな関西地域の価値である空港容量をしっかり活用していくことが重要です。そのためには、大阪・関西の魅力の世界への発信やパンデミックの影響で傷んだネットワークの回復など、オール関西で世界との繫がりを一層強め、新たな需要を創り出していかなければなりません。
現在、関西地域は、大阪・関西万博が開催され、多くの旅行者で賑わっております。関西は、大阪・京都を中心に、それを取り囲むように観光地が多くあり、海外の方々から見ると一つの大きなテーマパークのような地域です。そうしたリゾート的な魅力を強く持つ関西地域に、2030年には大阪IR(統合型リゾート)が加わり、ますます地域の魅力が高まります。今後も鉄道や道路等のインフラ整備が進むなか、十分な受入能力を持つ関西地域は、関西3空港とともに持続的な成長を果たすと期待しております。
これからも、関西地域の一つの空港システムである関西3空港の運営を通じ、皆さまとともに地域の成長を支えてまいりたいと考えておりますので、引き続きお力添えをよろしくお願い申し上げます。