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各界の声

待望のビッグイベントの数々を契機とした 関西経済の更なる発展に向けて

角元 敬治 氏

一般社団法人 関西経済同友会 代表幹事 (株式会社三井住友銀行 取締役副会長)

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、訪日外客数は堅調に推移しており、2023年の訪日外客数は約2,500万人と、過去最高であった2019年比で約8割まで回復、10月以降は月次ベースで同年を上回る水準が続いています。
 今後も、関西とその周辺地域では、2025年4月~10月の「大阪・関西万博」、4月~11月の「瀬戸内国際芸術祭2025」をはじめ、2027年5月の「ワールドマスターズゲームズ関西」、2030年秋の開業を目指す「大阪IR」等、ビッグイベントが目白押しとなっており、国内外から多数の訪問客が見込まれます。
 一方で関西では、コロナ前から京都・大阪などの特定地域におけるオーバーツーリズムの問題に直面してきました。観光産業においても人手不足が一段と深刻化しつつある中、関西を訪れるインバウンドの方々に引き続き快適かつ有意義な旅の経験を提供していくためには新たな知恵出しが求められるところです。
 即ち、オーバーツーリズムを回避しつつ、今後のビッグイベントに絡む観光需要を捕捉し、サステナブルな経済成長に繋げるためには、「広域連携の強化」と「インフラの機能拡充」を並行して進めていくことが鍵となります。
 関西経済同友会では、「広域連携の強化」の観点で、広域観光推進委員会を設置し、舟運事業者や行政機関と連携して、関西から瀬戸内エリアを中心とする西日本への広域舟運を促進するための活動に取り組んでいます。大阪湾や瀬戸内海の多島美で知られる景観を満喫するクルーズや島々の散策等、船でしか味わえない観光体験の提供を通じて、自然環境・地域の歴史文化に触れるエコツーリズムをはじめとしたコト消費ニーズを喚起し、取り込んでいくことを展望しています。法規制の緩和等、乗り越えるべき課題はあるものの、阪神港と瀬戸内海を繋ぐ広域舟運ルートの形成に力を注いで参ります。
 こういったコト消費を主眼とした広域観光には、大阪・京都など関西の主要観光地を一巡したリピーター層を惹きつけ続けるポテンシャルがあると考えられます。関西が広域観光のハブとなることで、多くの魅力的な観光資源を持つ関西の周辺地域にも、新たなビジネスチャンスを波及させていきたいと考えています。
 他方、「インフラの機能拡充」の観点では、関西3空港においても、関西国際空港第1ターミナルビルのリノベーションや神戸空港の国際化等、ビッグイベントとその後のリピーター層受け入れに向けた機能拡充が着々と進められています。当会の注力する広域舟運ルートの形成とともに、空港機能の拡充が今後も着実に推進されることを期待しています。
 最後になりますが、今後とも、当会では、関西経済の更なる発展に向けての調査・研究・提言・実践活動を継続して参ります。関係者の皆様には、引き続き当会の活動への一層のご支援・ご協力を賜れますと幸いです。
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