松本 正義 氏
公益社団法人 関西経済連合会 会長
いよいよ大阪・関西万博の開幕が目前に迫っている。「未来社会の実験場」である万博に世界各国、日本中から多くの方が訪れ、最先端の技術などを体験するとともに、会場である夢洲にとどまらず、関西各地を広域的に周遊し、多様な食や文化などにふれ、大阪、関西のファンになってもらいたい。
万博にはインバウンド350万人を含む、2,820万人が訪れる予定であり、空の玄関口、すなわちファーストパビリオンの役割を果たす関西空港では迎え入れるための準備が大詰めとなっている。
空の容量拡張については、2024年7月の関西3空港懇談会での合意を踏まえ、関西3空港で年間50万回の容量確保、関西空港で年間発着回数30万回の実現に向けた新飛行経路の運用開始に向けた各種手続きが国において進められており、3月末からスタートする予定である。
また、地上の受入体制についても、関西空港のターミナル1のリノベーションにおいて主要機能が完成し、3月27日にグランドオープンを迎え、これにより、約4,000万人の国際線のキャパシティが創出される。また神戸空港においても、国内線の容量拡張や国際チャーター便就航に対応するため建設が進められている第2ターミナルの供用開始が4月18日に予定されている。国際チャーター便については、既に中国・韓国・台湾など複数の航空会社の就航が発表されており、関西空港を補完する空港として、相乗効果が発揮されることを期待している。
関経連会長就任以来、関西3空港懇談会の座長として、国、自治体、経済界、空港運営会社など関係者とともにその時々の課題や中長期の展望に基づく議論を行ってきた。2018年の台風21号による甚大な被害や3年以上にわたるコロナの蔓延による航空需要の低迷など、非常に厳しい状況もあったが、関西空港が開港30年を迎え、万博直前のこのタイミングで今後の成長への道筋がついたことについては、非常に感慨深い思いである。
新飛行経路が運用された後も、安全性の確保を前提に、住民の生活環境への負担をできる限り軽減するため、府県と関西エアポート社、空港設置管理者が連携し、設置する環境監視体制の下、関西3空港懇談会でもその状況を随時確認し、必要な対策を検討していきたい。
政府では、観光立国を目指し、2030年インバウンド目標6,000万人を掲げており、関西においては万博の後にも、2027年のワールドマスターズゲームズ2027関西、2030年のIR開業など、ビックイベントが目白押しである。こうしたチャンスを確実につかみ、将来にわたる発展に活かすためには、3つの空港、5つの滑走路を有する強みを活かし、関西空港が基幹となって、ネットワークの更なる充実を図り、伊丹空港や神戸空港とともに、ポテンシャルを最大限発揮することが不可欠である。引き続き関係者と密に連携し、需要拡大と受入れ環境の充実に取組み、関西全体の発展に寄与してまいりたい。