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一般財団法人 関西空港調査会

今月のセミナー

-関西空港調査会主催 定例会等における講演抄録-

空港を中心とした地域づくり

本田 俊介 氏

株式会社ジェイエア 代表取締役社長

●と き 2024年4月16日(火)15:30~16:30

●ところ オンライン会場

はじめに

 本日はこのような機会をいただき誠にありがとうございます。空港を中心としたまちづくりについてお話をさせていただきます。
 ご紹介いただきましたとおり、私は日本航空の執行役員を務めながら株式会社ジェイエアの社長を務めております。20年ぐらいは国内路線事業に携わり、国内線を長く担当していました。その後コロナ禍での地域事業の活性化に取り組み、2023年4月からジェイエアの社長に就任しました。
 私がやりたいと思っていたのは、日本の地域に世界の人々が訪れる理由づくり、さらには日本の物産を世界の人々が買ってくれる理由づくりです。このようなことが今の我々にとって必要ではないかと強く思い、力を入れてきました。今日はご縁があってこの場に呼んでいただきました。

J-AIR会社概要

 ジェイエアは、日本航空グループの国内線の約3割の便を運航している会社です。28空港・42路線を担当しており、伊丹空港を中心としながら、北は函館から東北、九州にも飛ばしています。また、千歳から東北方面、福岡から九州域内、鹿児島からの離島も一部担当しております。

 我々は飛行機を飛ばすだけではなく、「お客様の心に寄り添う」「地域に密着する」というテーマで経営しています。左下の写真は間伐材を利用した箸です。徳島県那賀町の間伐材を使って箸をつくり、機内販売の商品にしています。他にも泉州手ぬぐいなど、各乗務員がデザインした商品を機内販売する取り組みを行っております。
 真ん中の写真は地域への誘客のお手伝いの様子です。右側の写真は伊丹空港の「空の市」というマルシェ。このように、運航を支える業務以外にも地域のための活動を行う会社がジェイエアだとご理解いただければと思います。

本日の講演内容

 今日お話させていただく内容は6パートに分かれています。1章は、まずJALの目指す姿ということで、いま全社方針が出ているのでその辺りについてポイントをお話しします。2章は地域事業について。交流人口を増やしていくために、これまでどんな取り組みをしてきたか、簡単にポイントをご紹介します。
 3章以降が今日のテーマに関するところです。コロナを経て、改めて空港の役割とはどのようなものなのかを考えます。4章ではその役割に対してJALグループはどのような活動をしてきたのかについて紹介します。
 5章からは関西空港とインバウンドにポイントを絞り、「これからの観光とは」として世界の動きを紹介しながら、6章では来る万博のインバウンドに備え、泉州地区にどうやって海外のお客様に来てもらうかということを考えてみましたので、皆様と共有したいと思っております。

コロナ後のJALの目指す姿

<JAL Vision 2030>

 JALには「JAL Vision 2030」という2030年に向けたビジョンがあります(P6)。大きく二つ「安全・安心」と「サステナビリティ」を掲げ、これを2030年にしっかりと実現していこうというものです。具体的には下に書いたとおり「多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来を実現し、世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループを目指します」ということです。
 要は物流・人流をしっかり起こしていき、それで社会を豊かにしていく、これをテーマに、2030年に向けて安全・安心そしてサステナブルな社会を目指していこうというのがJALの2030年のビジョンです。

<経営戦略の骨子>

 事業の考え方についてお話します。現在のJALグループの戦略骨子はESG戦略を最初に置いています。社会において我々の存在意義は何なのかを考えながら、そのために価値をつくっていき、そして成長して実現する最上位の戦略としてESG戦略を位置付け、ここを起点に事業戦略を考えていく。そして事業戦略に伴う財務戦略をここから考えていきます。このような順番で物事を考えます。
 いろいろな企業がありますが、事業戦略をまず決めてそこに財務戦略を当てはめ、そこにESG戦略をくっつけるケースが往々にしてあろうかと思います。しかし日本航空グループではESGを最上位に置き、ここから物事を考えていく戦略骨子を策定し、進めています。
 企業理念を具現化するものとして、「関係・つながりの創出」「GX戦略」「人的資本経営」の三つをあげています。GX戦略は、CO2をいかに削減していくかという環境対応です。人的資本経営は、多様な人財が活躍できる土壌をつくっていこうというものです。

 今日は主に関係・つながりの創出についてお話したいと思います。右側にあるように、社会的価値(環境問題、地域社会、人)を上げながら経済的価値も向上していこうと考えています。

<ESG戦略─SDGsの達成に向けた具体的な取り組み>

 もう少し具体的に活動を見てみます。気候変動への対応、D&Iの推進、アクセシビリティの向上、地域の活性化、そして感染症拡大の防止。このような具体的取り組みを実行していきます。今日はあまり触れませんが、気候変動については、SAFの搭載です。コストの高いSAFをいかに国内で生産し、調達していくか、こういったところへの先行投資も含めて検討しています。

<日本航空の現状について>

 日本航空の現状について少しお話いたします。下の円グラフをご覧ください。国際線の旅客収入が約30%、貨物が約16%です。マイル・ライフ・インフラというのは航空輸送以外の取組みであり、社会に資するような活動をしながら、しっかりと事業性を持たせることを意識しながらやっています。これは2023年3月のデータですが、今はさらにこの部分が伸びており、これから先もしっかり伸ばしていこうと考えている状況です。

 以上が日本航空として、ESG経営をベースとした考え方の大きな枠組みです。中でも関係人口について考えたときに、我々としては地域事業の取り組みに力を入れる必要があるのではないかと思うので、次にこの部分について少しお話させていただきます。

地域事業の取り組み

<地域活性化の背景(人口減少)について>

 まず我々が社会に貢献するESG経営を行うに当たり、一番大きな課題は何かというとやはり日本の人口減少であると思います。地域の人口減少は地域の課題であり、日本の課題でもあります。さらには日本航空はじめ運輸業の課題でもあり観光産業の課題でもあると思います。この社会問題の解決により社会に大きく貢献できるといえることから、地域活性化に力を入れていこうと今まで取り組んできた経緯があります。
 下のグラフは皆様もよくご覧になっていると思いますが、1950年から2050年までの生産年齢人口(15~64歳)の推移です。これがどんどん減っていきます。10年後には8%減、20年後には20%減と予測されています。
 先ほど申し上げたようにこれが日本の課題、地域のそして日本航空の課題となる中で、いかにこの社会課題について自分たちを紐づけていけるか、課題に対して我々としてどんな貢献ができるのかを考えていくことが、我々の活動の一つの大きな軸になるのではないか。そのように思って活動してきました。

<日本航空にできること>

 それでは、日本航空にできることとは何なのかをお示しいたします。まずは国際線、国内線の充実したネットワークです。ネットワークが海外から日本の地域までしっかりあること、ここが社会に貢献するために果たすべき役割の一つかなと思います。

 右側にもいろいろと記載していますが、要は2023年4月の段階で、国内線と国際線の運賃をほぼ同じにしたということです。今までは国内線は国内線、国際線は国際線と、運賃が分かれていました。名前も国内線では「先得」や「特便」などがあったと思いますが、今は一緒になり、レベニューマネジメントの考え方も一緒にしました。
 したがって、国際線の運賃の制度を国内線にも持ってきて、いま一緒にコントロールも含めて行っています。仕組みが全部つながったということです。航空業界としては内政の壁を取っ払って、国境を崩したぞという思いで我々もやってきたわけです。
 一方で「ちょっと待てよ?」と。海外とつながったのはよいのだけれど、海外の人が日本の地域に行く理由って何なのだろう?それもセットでつくらなければならないのでは――と考え、地域活動に力を入れてきたという背景もございます。

<JALの地域事業について>

 どのようなことを事業目的に地域活動に取り組んできたか、二点示しています。

 一つが左側の『「地域と大都市/世界」「人と人」をつなぎ、新たな流動を創出』。つまり関係人口の創出で地域を豊かにしていこうということです。いま我々が見ているところでは、空港と空港の間で航空輸送を行ってきているわけですが、それだけではなく、全社員の知見、経験、技術を使いながら永続的な流動をつくっていくことが我々の社会的なミッションではないかと考え、需要をつくり出していくことを事業目的として取り組み始めたのです。
 もっと詳しく述べたのが、右側でもう一つ示した『世界から地方へのインバウンド、地方から世界の特産品の販売で地域を豊かに』していくこと。北海道に矢印を入れていますが、オレンジの矢印は、世界から来た人が日本を経由しながら北海道の地域まで行くことを示しています。これはインバウンドです。
 そして今度は青い矢印で、地域のものを日本を経由しながら海外に売っていきます。日本のものを海外に売っていくことを、ネットワークを通じて進めていこうというのが地域事業の事業目的です。特に貨物機ですが、我々は今回フレイター事業を始めました。ITによって日本のマーケットも海外のマーケットもつながり始めており、これによって物流が活発に動き始めているところもあります。こうして日本の地域のものを世界に売っていって、何かしら世界でヒットする商品ができないかと考えながら進めてきました。

<地域課題への取り組み事例(人流関連)>

 これまでやってきた取り組みで代表的なものをいくつかご紹介させていただきます。
 人流をつくるための取り組みとして、「農泊拡大」を行っています。農家に宿泊してゆったりと心を整える時間をつくるもので、農協観光と提携を結んでいます。農泊はヨーロッパではイギリスやイタリア、フランスで当たり前のように行われています。
 日本ではまだなかなか進んでいない状況で、農泊を広げることによって農家は副収入として収入確保ができます。事業継承の問題など、農家が今いろいろな課題を抱えている中で農泊を広げていこうとしています。
 基本的に地域にはたくさんの農家がありますので、日本でもそういった仕組みをつくっていこうと考えています。ただ日本では農泊に馴染みがないところもあり、皆様も一体どのようなものなのだろうかと同床異夢になっている部分もあるので、「農泊評価制度」を日本ファームステイ協会と一緒につくりました。各農家でいろいろなチェックポイントがあるのですが、私どもの客室乗務員がそれをソフト面とハード面それぞれでしっかりと検証して認定を出します。このような評価制度をいま運用しています。
 この評価があれば安心して泊まれるという指標です。評価を行った所については、認証を授与しています。こういった形で農泊をブランド化して広げていこうと活動しています。

<地域課題への取り組み事例(物販、商流関連)>

 次は物販、物流関連です。伊丹の「空の市」というマルシェがあります。マルシェの中身の話は後述しますが、マルシェを実施しながら地域の産品を販売する販売チャネル(場所)も提供していきました。
 また「全国6次産品化」も行っています。1次産品のままだとなかなか利益を出しにくいところを、6次産品化することで価値を与え、それで単価を引き上げて利益を出していくという取り組みを行ってきました。

 次に同じく物販、商流関連で、タイの「トンロー市場」という市場があります。毎月日本のいろいろな地域から生鮮品を空輸してここで販売しています。今月は鹿児島の垂水市の白身魚、その翌月は福岡の宗像市の生鮮品、といった形で日本の地域のものをタイの市場で売っています。この他にもイチゴやサクランボなどの収穫品をそのまま直接海外に輸出するという取り組みも実施しております。
 下段はJALの取り組みの一つ、越境ECです。これは中国の事例ですが、地域の方々が物を売ろうとしてもなかなかプラットフォームがない状況です。例えばいま中国でアリババのようなプラットフォームに出店しようとすると、かなりのコストかかります。そこで、地域の方々が中国で物を売りたい場合に、安いコストで品物を販売できる仕組みをつくっていこうと考え、このようにWebで簡単に購入できる仕組みをつくりました。Inagoraと一緒になって進めているもので、中国だけではなく、ここから先いろいろな国にも拡大していくつもりです。

<地域課題への取り組み事例(2次交通)>

 先ほど人流と物流の代表的な事例について話しましたが、次は2次交通です。JALではドローンの事例が二つあります。右側のケースは奄美大島の瀬戸内町という地域で行っている物流です。

 風が強いとなかなか船を出せないのですが、そんな中でドローンが代わりに行ってくれたり、大雨、洪水、地震などで通常の交通機関が機能しないときにドローンが物を運んでくれたりします。奄美大島のほか中部空港でも取り組んでいますが、今度大阪・関西万博に我々は事業としてドローン(空飛ぶ車)を出そうとしています。このような2次交通の事業もやらせていただいております。
 下段の「JALMaaS」についても後ほど詳しく説明しますが、海の上を飛行機が飛んでいる写真をご覧ください。これはREGENT(リージェント)社のシーグライダーで、船にもなり、混んでいない所なら海上2、3メートルを飛ぶこともできる利便性の高い乗り物です。こういった会社にも出資しながら、2次交通を充実させていく取り組みをいま行っています。

<地域課題への取り組み事例(環境保全)>

 次に環境保全、GXのパートです。JALではカーボンオフセットプログラムを提供しています。例えば大阪から沖縄まで自分がフライトするときにCO2が出ますが、そのCO2をオフセットするプログラムです。
 たぶん300円ぐらいだと思うのですが、自分でオフセットする形をとっています。そのオフセットした分は、植林などCO2を抑える活動に行き、CO2を削減するために使われる仕組みになっています。このプログラムを個人向けと企業向けに提供しています。
 その下は「やんばる黄金(くがに)」号という電気バスです。沖縄のやんばる地区で、JTAという我々のグループが運行を担当しています。やんばる地区は自然が豊富です。CO2を出さない電気バスを運行することで自然環境保護に役立てようとして行っている活動であり、このような取り組みを地域活動としてやってきました。

<地域課題への取り組み事例(情報発信)>

 こちらはYouTubeの番組「JAL FURUSATO PROJECT」です。「各地の応援隊」と書いてありますが、これは客室乗務員が自分で手を挙げて、自分の故郷、あるいは両親や配偶者の出身地をアピールするものです。

 今は「CAリポーターが行く!日本全国チャレンジ旅」という企画でいろいろな地域のものを紹介しています。右の写真は和歌山県・熊野古道の体験レポートを紹介したものです。
 下の画像は、客室乗務員が各地域の伝統的な食事のつくり方を紹介するもので、料理番組のような地域自慢のようなプログラムです。ぜひ「JAL FURUSATO PROJECT」のチャンネルをご覧いただければと思います。
 右下にある「九条ねぎのペンネグラタン」ではJALの植木会長も登場して試食したり、鳥取新社長も福岡の久留米バージョンで出たりするなど面白い内容になっていますのでご興味のある方はぜひご覧いただければと思います。
 こんなふうに地域の活動を今まで行ってきました。JALのESG戦略中でも関係人口づくりのための取り組みである地域事業について説明いたしました。

空港の役割

<コロナによる変化>

 ここから先は「空港の役割」についてお話させていただきます。コロナ禍になり、いま一度空港の役割とはどのようなものなのかを整理しています。
 コロナがあって、サステナブルな社会に対する関心が非常に強まってきました。その結果、新しいライフスタイルや心の豊かさを求める動きが加速し、首都圏や大都市集中から地方分散が始まってきました。そして時間と場所を選ばない働き方、例えば地域での生活や滞在へのニーズや、時間距離の短さを活用した空港(地域の玄関口)の価値向上などが改めて見直されてきたのではないかと思います。
 左側は、空港が地域の玄関になった自由度のある暮らし、右側は混雑した都会の暮らしを表していますが、このような状況からいろいろな考え方が出始めたのだと思います。この間エアドゥが「北海道に住んでも大丈夫なんです」と言っていましたが、今、日本航空グループはじめ航空業界でも、どこに住んでいても通って仕事ができるような仕組み、これをコミューター制と言いますが、こういうものを取り入れる会社も増えてきています。
 こうした形で、住む地域、ライフスタイル、働く環境がどんどん変わってくる時代になっていると思います。その中でも中心はやはり空港なのであり、改めてみんなが集まる場所になっているのではないかと感じます。

<空港が持つ強み(①時間距離の短さ)>

 空港が持つ強みについて再度整理していきます。まずは時間的な距離の短さです。日本の地域から日本の首都圏を経由すると、基本的には24時間以内で世界の主要都市に行くことができます。
 北米には12時間ちょっと、欧州は今少し時間がかかっていますが14時間、中東が9時間、東南アジアが7時間、豪州が10時間といったところですね。24時間以内に日本の地域から世界の主要都市にこうして行けます。やはり空港は時間的にすごく高い価値を持っている場所だと言えるでしょう。

<空港が持つ強み(②3つのマーケット拠点)>

 次に、3つのマーケット拠点というものがあります。 空港には海外、国内から利用者の方が集まる場所があり、そこに1つのマーケットがあります。2つ目が高速道路のインター。地方空港も含めて大体の空港には高速のインターがあるので、他の都道府県からいらっしゃる方々のマーケットがあります。3つ目が、その空港がある地域の利用者。
 つまりこれら3つのセグメントの方々が集まる場所が空港なのです。するとそこにビジネスチャンスが生まれるのではないでしょうか。

<空港が持つ強み(③地域のアセットになる)>

 そして次に、地域のアセットになることです。空港は移動の玄関口だけでなく、旅行の起点や終着点でもあることから、地域観光の中心でもあると言えます。飛行機、空港の関連施設、空港の職員などもアセットとして考えると、学びの場や見学施設、あるいは避難施設としても活用できることになります。地域の方々の所にある空港はもうその地域のアセットなのだという考え方が必要です。

 左上は観光案内所。ここで旅のスタートから終わりまでいろいろフォローすることができます。空港にはいろいろな機器があり、社会的な勉強ができるので、子どもたちの学習の場所としても有効です。また今回北陸で地震がありましたが、そのときに新潟空港などが地域の住民の避難場所になっていました。そのような意味で、空港はいろいろな形で地域のアセットとして役割があると言えます。
 もう一つの強みと言いますか、JALの取り組みですが、空港の周辺の拡大です。本当の「周辺」だけではなく、空港までの時間的な価値を上げることで、もっとその価値を広く利用してもらえるだろうと考え、空港周辺の拡大に取り組んでいます。
 このような考えのもと、さらなる時間価値の向上と安全安心の確保を目指して空港周辺のエリアを拡大していきます。Air Mobilityの2次交通活用で空港までの距離を短くしていき、他都市とつながるエリアを拡大します。右の図のように、空港と都市間がつながるエリアをもっと広げていこうという考えです。そのためにAir Mobilityやシーグライダーを活用していこうと取り組んでいます。こうした役割が空港にはあります。

<空港の役割>

 空港による時間的な距離の短縮が生み出す「時間価値」がポストコロナでさらに増すことで、インバウンド、地方分散、地方創生、あるいは働き方改革やダイバーシティ、地球環境などがクローズアップされてきました。
 その価値を最大に引き出せるのが「空港そのもの」「空港周辺」です。各地域の良さ、他の地域と異なる独自の魅力を生かしながら、空港周りの自治体の価値を高めること、再開発が必要となってくるのではないでしょうか。
 空港や空港周辺が単なる「飛行機の発着場」「通過点」では非常にもったいないと思います。各拠点から3つのマーケットの拠点になることから、地域の入り口としてインフラ整備に力を入れる必要があります。
 空港は行政でやるだけではなく、民間の、例えば銀行や建築業や不動産業なども含めて、要は空港をベースにしながら一つのまちづくりを行うことによって集客などいろいろな価値を提供することができる、そんな発想で考えていけばよいのではないかと思っています。
 まとめとして書いておりますが、地域空港を拠点として地域から首都圏、地域から海外への人流・物流の増加は、空港や空港周辺の発展、ひいては地域の全体の発展に寄与し、さらなる人流物流の増加をもたらす好循環を生みます。やはり空港周辺に注目しながら、周辺とともに空港が成長していくことによって、その地域に大きな影響を与えているのではないか、こうしたことが空港の役割と言えるのではないかと思います。

<空港を中心としたまちづくり(南紀白浜空港の事例)>

 空港の役割について話をしてきましたが、その中で私が講演を聞いた中で、非常にそのようなことを意識しながら運用されている事例をご紹介したいと思います。
 空港を中心としたまちづくりを実践されている南紀白浜空港です。同社の岡田社長の話を聞いたとき、非常に素晴らしいと思いました。
 2019年4月に民営化し、今は「空港型地方創生」をコンセプトに地域活性化に取り組まれており、「紀伊トラベル」といった旅行業や「地域連携DMO」にも取り組んでいらっしゃいます。今回私がずっと「空港の役割」として申し上げたようなことを実際に行っていらっしゃるわけです。
 白浜は東京からも時間的な価値があります。軽井沢や鬼怒川まで行くにはもっと時間がかかりますが、羽田から70分で南紀白浜に着くという時間的な価値をうまく利用しながらプロモーションを行っています。そしてリゾートオフィス、親子ワーケーション、人材育成プログラムなどいろいろなコンテンツを充実させ、空港を活用されています。
 2次交通についても、レンタサイクルやバスのダイヤ改正、顔認証導入などいろいろと工夫されています。このように、空港を中心にしたまちづくりを実際に具現化しているのが南紀白浜空港だと思います。

JALグループの空港を中心とした活動

<成田空港の取り組み(地域貢献活動)>

 これまで空港の役割についてお話をしてきましたが、その役割を意識しながら、日本航空がやってきた活動について紹介いたします。
 まず成田空港では、左側の四つの項目を示した図の左下にある「成田de愛」プロジェクトで地域貢献と地域活動強化に取り組んでいます。

 右側の写真は2023年度の取り組みです。各種イベントに協賛したり、一緒にイベントを実施したり、いろいろな地域との活動を一緒に行っています。綱引きイベントやボランティア活動も含め、地域と連携をとりながら進めているところです。

<成田空港の取り組み(JALアグリポート)>

 もう一つは成田空港の「JALアグリポート」。アグリポートは、農業を通じた地域振興を目的に2018年に設立されたJALグループの農業会社です。
 ここでイチゴをメインとした農業生産で農業の魅力を発信したり、地元の食材を活用したレストラン(Dining Port 御料鶴)で地域食材を発信したり、農産品の輸出やオリジナル商品の販売を行ったりしています。空港に近いメリットを生かしながらこのような活動を行っています。

<伊丹空港の取り組み(地域貢献活動)>

 伊丹空港でも、「伊丹空港があってよかった」と地域の方々に思ってもらおうと、地域の皆様といろいろなイベントを一緒に行ったり、近隣の小学校で航空教室や紙飛行機教室を開催したりしています。
 地域のイベントにも一緒に参加しており、豊中市の80年記念ロゴが飛行機の絵になっています。このような形でも地域と空港が連携しながら活動を進めています。

<伊丹空港の取り組み(アセット活用)>

 先ほど紹介した地域のアセット活用の事例です。これはパイロットによる航空教室や客室乗務員のアナウンス体験、整備作業や駐機中の航空機見学の様子です。このようなことを学びの場として学校の子どもたちを招待して行っています。

 また、伊丹空港は豊中市・池田市・伊丹市にまたがった空港なので、各自治体がこの体験をふるさと納税の返礼品として納税者の方々に提供するような取り組みをしています。空港を地域のアセットの一つとして考え、活用いただいている事例です。
 もう一つのアセット活用ですが、4月14日の日曜日に万博開催の1年前を記念してチャーターフライトを実施しました。地域の子どもたちを招待して、万博1年前ということでジェイエアが飛ばしている「ミャクミャクJET」で大阪周辺、四国を回るものです。万博会場を見たりみんなでクイズ大会もしながら楽しみました。このようなことも空港がある地域ならできるということです。

<伊丹空港の取り組み(3つのマーケット拠点)>

 こちらは先述したマーケットの活用です。伊丹空港では今、ジェイエアを中心に「空の市」を開催していますが、いくつかのポイントがあります。

 まず一つは消費者体験。「空の市」は、朝一でいろいろな地域の産品を高鮮度・高速輸送で持ってくるので、各地域の朝どれのものが関西で手に入ります。その点で周辺地域の消費者の方々にとって非常にプラスになっていると思います。
 次に地域や地方自治体の関係人口増加という点です。「空の市」は大阪の方々に地域を知っていただくきっかけになり、「あそこの産品、美味しかったね」とその地域に対して関心がわき、旅行に行ってもらうことにもつながります。例えばもしその地域で災害が起こったら、心配になってニュースを見たり寄付をしたりなど、関係人口増加に発展していくきっかけづくりにもなるでしょう。
 さらには生産者の販路拡大という点。「空の市」で紹介したものに関し、大阪の事業者が「それを定期的に取引させてください」といった形でビジネスにつながりますし、伊丹空港での集客にもなります。空港に来られた方が、駐車場を利用したりレストランで食事もしたりするわけで、いろいろなプラスアルファが三方よし、四方よしの形で生まれている事例です。

<JALMaaS(Mobility as a Service)の拡大>

 先ほど、空港の周辺地域を拡大していくという話をしましたが、JALMaaSにも取り組んでいます。これはモビリティとテクノロジーを融合させ、空と地上の多様なサービスを連携・拡充することでお客様との地域の距離を縮めていこうという取り組みです。
 例えば手荷物の当日配送サービスは、羽田、伊丹、沖縄の発着便で行っており、オンラインで決済すると出発空港から到着空港まで、そして目的地へも荷物を運んでくれるものです。また、キックボードのシェアリングサービス。ちょっと散策したいときのためにキックボードの貸し出しを行ったり、体の不自由な方や高齢者の方には電動車いすを提供したりしています。
 さらに、航空と2次交通をしっかり結んでいく手段もいろいろ考えています。ぜひ「こんな仕組みがあるんだ」ということは頭に入れておいていただければと思います。

これからの観光とは

<これからの観光>

 次にこれからの観光について少しお話をしたいと思います。実際に今、いろいろな空港の役割、JALがやってきた空港の取り組みを説明させていただいたので、そこから先の関西エアポートや周辺自治体について話そうと思いますが、その手前にある「これからの観光」で世界の観光がどのように変わっているかをご参考までにお話します。
 これからの観光はどうなるのか。観光は、地域住民とその暮らしの質を向上するものであり手段であります。つまり観光は目的ではなく手段で、さらにはサステナブルであるのが新しい観光だと言われています。

 もう少し詳しく言うと、観光客が地域のために何ができるか、どんな貢献ができるかを考えながら移動し始める、そんなことが起こり始めています。
 そしてこれからはリジェネラティブな観光、すなわち自分が行くことでその地域に貢献できる観光になります。例えば奄美大島で実証実験を行っていましたが、島に入るための入島税を一部徴収して、それを自然保護の費用として使うといった方策です。このように「行く」と貢献できるのがリジェネラティブな観光です。
 そして永続的な流動の関係人口づくりが重視されています。第2のふるさとづくりです。関係人口づくりもそうですが、我々が年に1回、お盆などで実家に帰るのと同じように、人と知り合うことによって、永続的な流動に変わっていきます。
 さらにはシビックプライドの醸成があります。これは自分たちの住んでいるところにプライドを持つことです。後でも出てきますが、ありのままの姿がいま実際に評価されています。「自分のところには何もないよ」「観光客が来るようなものじゃないよ」ではなく、実はそのままものが今注目されているのだと、こんなふうに観光が変わってきています。
 これをさらに、Old TouristsとNew Travelersに分けて見ていきます。Old Touristsでは消費するのが目的ですが、New Travelersでは責任・貢献が目的です。先ほど申し上げたように、旅行に行くたびに自分がどう役に立つのかを考えるのです。
 昔はエンターテインメントだったものが、今は本物の体験、ありのままの人・文化・自然を大事にします。そしてこれまではマスだったものが、エクスクルーシブ(ここだけ・今だけ・あなただけ)を求めるようになってきました。
 昔は「観る・する」だったものが今は「つながる・感じる」に変わっています。そして昔は受身で参加していたものが、能動的に考えながら参加していくようになりました。コンテンツに関しては、昔は内容が重視されていましたが、今はコンテキスト、つまりそこにどんな背景があるかをしっかりと学んで、そこに価値を見出すような行動に変わってきています。
 例えば大きな岩があったとして、普通に見れば単に「大きな岩があるな」だけで終わります。しかしこれが数千年前の噴火で飛んで来たもので、この岩があるおかげで斜面の崖崩れが予防できているので神の岩と言われている、というようなストーリーがあれば、大きな価値が出てくると思います。
 続いて情報ですね。今までは「知る」だけだったのが「対話」に変わってきました。地域の方々と対話を行う観光になっています。また、「モノ」から「コト・意味」への変化、さらには短期的な楽しみから、長期的な人生観や思考の向上を求める観光に変わってきました。

<これからの観光(世界の事例)>

 ヨーロッパの傾向も紹介していますが、まさにアドベンチャーツーリズムを体現した事例です。いまガイドの重要性についてよく言われていますが、コロナ禍を過ぎて世界の観光の動きもどんどん変わってきています。
 スウェーデンはSDGs世界ランキング1位、サステナブル・トラベル・インデックスでも1位です。スウェーデンでは宿泊に関し、持続可能なホテルの認証を取っています。後述しますがこれは「SDGsをきちんと実行しています」という認証で、10のホテルのうち8つで取得済みです。ホテルなどの食事はオーガニックやフェアトレードの食材を使っています。移動は風力や水力で走る乗り物で行っています。 デンマークのコペンハーゲンでは「THE END OF TOURISM」というキャンペーンを実施しています。これは、「我々の知っているツーリズムは終わった(The End of Tourism as We Know it)、新しいツーリズムに変わっていくんだ」という動きです。
 オランダのアムステルダムでは「Untourist Guide」(脱・観光客ガイド)という動きがあります。体験というのは、まちを見て歩くだけではないという考えのもと、まちを清掃したり、魚の代わりにゴミを釣るツアーなどに取り組んでいます。ヨーロッパでもこんなふうに観光のあり方が変わってきています。

<JAL GSTCに加盟>

 先ほど認証について触れました。2023年9月29日、認証を管理するCSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)から、JALが加盟証書を受理してメンバーに入りました。下に示した東京・お台場にあるグランドニッコーと沖縄にある日航ホテルアリビラ、二つのホテルが認証を受け、早速それをベースに運営しています。

 ヨーロッパでは、この認証がないと富裕層やソフィスティケイトされた方々が宿泊しなかったり検索上位に出なかったりと、そのような動きにもなってきています。日本でもこの動きが始まるだろうと考え、JALグループもいま取り組みを進めているところです。

<これからの観光(世界からの目)>

 世界の目を少し紹介させていただきます。先述のシビックプライドの話にも関連するのですが、ニューヨーク・タイムズの「2023年に行くべき52カ所」に盛岡市が選ばれたことは皆様もご存知かと思います。記事では「昔の姿と現在が混在する日本のありのままの姿」が評価されています。
 記事の抜粋ですが、「市街地は非常に歩きやすい。大正時代に建てられた西洋と東洋の建築美が融合した建物、近代的なホテル、いくつかの古い旅館、曲がりくねった川が街中にあふれている。古代の城跡が公園になっているのも魅力のひとつだ」とあります。
 我々が見ると、「これで人が来るの?」という感覚になるのですが、実は日本の昔と今の姿がありのままに残っている点や歩きやすさなどが評価されて、ここに人々が集まっているのです。今までの観光とはかなり変わってきており、これが世界の観光になっているのだということをぜひ感じていただければと思います。

<これからの観光(ナイトタイムエコノミー)>

 ナイトタイムエコノミーとは夜間に行われる経済活動のことで、ニューヨークやシドニー、その他大都市でも取り組まれています。要は、夜も経済活動を行うことによってどんどんその地域にお金が落ちていくわけです。
 オーストラリアの事例をあげていますが、一つは左側の「The Rocks Pub Tour」です。ロックスというまちには昔ながらのパブや建物が並んでおり、そこを歩きながらシドニーの歴史を探っていきます。クラフトビールやワインも楽しめます。私も当地で最古のバーに行ったことがあるのですが、そこでクラフトビールを飲みながら歴史を感じることができました。このようにまち歩きを夜に行っています。

 もう一つは「Vivid Sydney」という、音楽や光を使ったイベントによる集客です。夜の活動を充実させることによって、人が集まる仕組みができるのです。 大阪・関西万博の開催がありますが、夜の部分は空いていますから、そこへいかに価値をつくっていくかが一つのポイントになると思います。

■来る万博インバウンドに備えて(泉州地区)

<世界から関西万博へ! 関西万博から日本の地域へ!>

 最後のパートでは、万博インバウンドに関し、泉州地区について考えたことを今の世界の潮流に合わせながら話したいと思います。
 来年には万博が開催されますが、「世界から関西万博へ!関西万博から日本の地域へ!」という思いで、関西を日本のゲートウェイにしていこうと大阪観光局の溝畑宏理事長がおっしゃっています。
 東京には人が集まり、東京からのネットワークでいろいろな地域に行くことができます。大阪も間違いなく万博を含めその後のIR、京都や奈良、そして和歌山や兵庫、いろいろな地域の人や素材が集まって集客装置になりますし、国際性もあることから、関西は充分日本のゲートウェイとしての役割を果たせるのではないかと思います。

<関西に来訪する訪日客の地域送客>

 関西を訪れる方々をいかに地域へ呼び込むか。伊丹空港にはジェイエアの他にもANAウイングス、全日空がいらっしゃいますし、関西空港だとピーチ、ジェットスター、JALグループのJTAなどもあります。神戸空港にはスカイマーク、FDAがいらっしゃる。この3空港に多数のエアラインが入っており、日本の各地にネットワークがあります。
 したがって、第2のゲートウェイの役割を充分に果たせますし、むしろ我々は航空業界としてそういうことをしなければならないのだろうなと思っているところです。大阪から北海道への路線がやや少ないといった面はあり、飛行機でないと行けない所についてはもう少しこれから考えていく必要があると思います。とにかく日本全国への各種ネットワークが大阪にはあるので、しっかり活用していくべきでしょう。

<万博のインバウンド地域誘客へ課題(泉州地区への誘客)>

 飛行機での移動に関してはそれでよいのですが、関空に近い地域に泉州地区があります。泉州のDMOの方々にいろいろお話を聞かせていただきながら、泉州の課題を見てきたのですが、関空に到着したインバウンドの方々は、なんば、梅田にダイレクトに向かいます。南海電車で街中へ行き、その結果市街地は大混雑します。戎橋の辺りなどは大変な状況になっており、お店も長蛇の列でひどい混雑になっている状況です。
 今度は帰るときです。その市街地に泊まり、そこから南海電車で関空まで来られます。この場合、ホテルを11時ごろにチェックアウトで追い出されて、非常に大きな荷物を抱えて南海電車に乗って来て関空に到着します。大体フライトが夕方から夜や深夜にかけてなので、昼間の時間帯はずっとフライトを待ってらっしゃるのです。もう座り込んだり壁際に寝転がったりしながら待っています。
 ここに課題があるかなと感じます。そこで、泉州地区への誘客によってこの課題をクリアできるのではないかと考えました。

①ナイトタイムエコノミーでの泉州地区への誘客

 一つ目は先述のナイトタイムエコノミーです。KIX泉州DMOでは地域の産品や飲食店をよく把握されているので、万博期間中のタイミングで、お祭りや盆踊り、夜市などを月替わり、日替わりで特別開催してはどうかと考えています。夜間の市街地が混雑している中で、なんばや梅田に泊まった方々が南海電車に乗って泉州地域で夜を楽しめるのではないでしょうか。
 泉州地域に泊まっていらっしゃる方々には、なんばや梅田へ行かずに泉州にとどまってもらえる工夫も必要だと思います。さまざまなお祭り、エイサーもありますし夜市もあります。飲食も水ナス、カキなどの海鮮など、実にいろいろなものが揃っています。こういったところに誘導していく必要があるのではないかということです。
 泉州夢花火のような花火大会の頻度を多くするのもよいでしょう。先ほどのオーストラリアの話と同じなのですが、シドニーの取り組みをイメージしながらナイトタイムエコノミーを泉州地区でやってみてはどうかと考えています。

②手ぶらで泉州地区の体験、観光

 二つ目が手ぶらでの泉州体験・観光です。午前11時にホテルを追い出されてしまう外国人の方々は、ホテルから空港に直接荷物を送ることができれば手ぶらで動けるわけです。そうすると関空に向かう南海電車を途中下車しながら、いろいろなことが体験できます。KIX泉州DMOには各種のオプションや素材が揃っています。これらをいかに外国の方々に伝えていくか、行きやすい施策を実行していくかは、非常に大事なことだと思っています。
 岸和田にも観光体験プログラムが揃っています。堺のシマノ自転車博物館も私は大変面白いと思います。シマノの自転車は世界各地の大学で教材として使われています。シマノの技術の素晴らしさや、多角化経営していったという辺りが注目されているようです。また、呉服店で日本の着物を体験したり、日本酒やガラス細工なども体験できるところがあります。だから昼間はこうした体験に寄ってもらえればよいのではないでしょうか。JALMaaSなどを活用しながらできるのではと思います。

<JALグループでできること>

 そういった中で、JALグループとして何ができるのでしょうか。JALMaaSやプロモーション、掘り起こしなどは、JALグループとしてプラットフォームをつくる必要があります。現在KIX泉州DMOがいろいろと尽力されていますが、我々の中でもできることがあります。
 例えばバリューチェーン内のプロモーションであれば機内誌やWEB、海外向けのダイナミックパッケージなどの媒体に載せることができます。海外からの誘客ならば我々が飛行機で連れてくることができます。
 また他企業連携も可能です。飲食店は海外の人が予約を取りにくいのです。しかしこの場合、by Foodという、海外の方の代わりに予約を取ってくれるサービスを利用すれば、泉州地区の英語が通じないお店でも予約を取ることができ、いろいろなご案内もできるようになっています。このような仕組みもあるので、ぜひ活用してもらえればと思います。

 他に、ここには書いていませんが、マジカルトリップというガイドを提供するサービスがあります。ここでは各地域のガイドを募集しており、試験に合格した地域の方々がガイドになれます。こうして泉州の各地域のガイドを増やしていくことも、我々がお手伝いできることなのかなと思っています。

おわりに

 来年度は万博があり、海外の方々もいらっしゃるわけですから、その方々をしっかり引っ張っていく取り組みが非常に大事だと思います。
 「泉州地区には観光資源があまりないんですよね」みたいに言われることがあるのですが、先ほど申し上げたように、自分の住む地域のありのままの姿に自信を持って、それを海外の方に見てもらい伝えていこうという意識を持つことが大事です。
 来年は千載一遇のチャンスなので、我々も協力させていただきながら、関係者の皆様と一緒に取り組んでいきたいと考えています。
 今日は泉州地区のお話でしたが、まだ研究不足ながらも和歌山県の活性化も関空に紐づいていると思っているので、そちらにも我々としては力を入れて取り組ませていただきたいと考えております。
 以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

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